アンダーカレント 全1巻 豊田徹也 アフタヌーン 講談社
すぐ横にいる他人。いかにも熟知していそうな他人の中には、実は自分の知らない深淵が広がっているような気持ちにとらわれるときがある――そういうテーマに仕上げるために、本作はゆっくりと語る。
ひとりで勝手にマンガ夜話さん
(水の記憶)
同名のアメリカ映画や、銭湯の女主人を主人公にしたUA主演の映画「水の女」など、多くの映画を意識しているだろうこの作品は、非常に緻密な計算の元に構成された、マンガの名品とでもいえる物語である。
負け組日記さん
この作品には「今まで水面下でくすぶっていたものが、ある地点で噴き出してしまう」という構造がある。
一つ一つのエピソードがそのような構造を取っている一方で、物語全体もそのように「終末に至るまでくすぶり続け、ある地点で噴き出してしまう」形を取っている。
ストーリー、構成力、絵柄全てが違和感なくまとまっているこの作品は、そう思わせるだけの「漫画の底力」に満ち溢れている。
一本の映画のように、監督としての豊田さんが連載全体を俯瞰して描いていた「作品」を、連載という形に分割して読んでいたのだなと感じる。
ほんよみの森さん
絵も話の内容も、派手さや華やかさはない。
なのにこんなに面白いのは何故だろう。
読後の満足感が違う。