3月のライオン 1巻 羽海野チカ ヤングアニマル 白泉社
「ハチミツとクローバー」の作者、羽海野チカ先生の新作は、「青年誌での連載」「将棋がテーマ」ということで多くの人に衝撃を与えました。ついに1巻発売です。
ひとりで勝手にマンガ夜話さん
長文レビュー。タイトルの元ネタになった映画との関係など。
彼が川を眺めるということは、どちらの感情も受け入れずにすむ安堵から来るもなのか・どちらの世界にも属さない孤独から来るものなのか。そして、零は橋の上でこれから何を見つけるのか。あかりの照らす暖かさか、ひなたの温もりか、それとも、盤の上に川の空気を求めるのか……
【オススメ】 羽海野チカ/3月のライオン | マンガ一巻読破さん
半ば過去形として描くことで、読み手にざらついた刃をそのまま見せることなく、オブラートに包んで提供している。そこにあるのは、リハビリの過程。
フラン☆Skinさん
誌面から滲み出るかのような優しさ、暖かさ、そして寂しさ―。
それらが複雑に絡まり合いながら読む者に伝わってくるんですよ。
真・業魔殿書庫さん
羽海野先生は強さも優しさも、弱さも脆さもしっかりと描く作家だと思います。
どんなに強く見えて優しい人でも、それだけじゃない。
人間だから弱さもある、と。
主人公は16歳の少年棋士。両親を失い、養父からも離れて、ひとり都会をさすらう少年の孤独な日々が淡々と綴られていく。今年最も注目を集める作品のひとつだろう。
●追加
三軒茶屋 別館さん
『ハチワンダイバー』で菅田が将棋という「戦い」に特化していき(他を切り捨てて)内に内に進んでいく物語であるというのとは真逆に、『3月のライオン』は他を切り捨てて将棋の世界に特化してきた桐山零が外の世界を知っていく物語なのではないかなあ、と思いました。
やまなしなひびさん
徐々に見えてくる人間関係、主人公が「何もない」と言われていた背景、想像の余地を残す程度に与えられる謎と伏線、画面いっぱいを存分に使い切る絵の美しさと言葉選びの美しさ。そして、『ハチクロ』同様にダイレクトにこちらの心を鷲づかみにしてくる力強さ。
マンガソムリエさん
男では乙女チックすぎると真っ直ぐ向き合えないジャンルを、乙女度は全くうすめないままで、少年漫画的要素(ギャグ)をぶち込むことで中和するという力業。
ギャグを入れるタイミングというか、ギャグに対するコマの裂き方というか、そういうことに対する嗅覚が尋常じゃない。
イン殺さん
憎いわけでも嫌われたいわけでもないのに、その道を選んでしまったがゆえに、どうしようもなく殺さざるを得ない苦悩。かねてからヤングアニマルを愛読しているわたくしは、このテーマにとても見覚えがあります。
ベルセルクとふたりエッチとキミキスとDMCと3月のライオンが同居してるからマンガ雑誌ってのは面白いんだよな。女はもっと少年漫画を読み、男はもっと少女漫画を読めば良い。
たまごまごごはんさん(ギャルゲ脳で読み解く「3月のライオン」)(画像アリ)
自分は「ちょい、3月のライオンの女の子攻略してみたくね?」というギャルゲ的な感想を書こうと思います。
主人公の目線から女性キャラを読み解く。
すずめ休憩室さん
そこまでも自分を責め続け孤独を抱え続ける主人公・零と零を取り巻く人達のほんわかとした小さなエピソードがページを読み進めるごとにまるで縦糸と横糸のように重なり合い、癒しという色をまとい、物語という1枚の布を織り上げているかのようです。
桐山と二階堂、あるいは明るいものと暗いもの(『3月のライオン』)
『3月のライオン』は意図的に明るいもので物語を埋める一方で、ただ一人暗闇の中にいる桐山が孤独になるよう作られているのですね。この明るいものと暗いものの対比は、『ハチミツとクローバー』から引き継がれたものです。(画像アリ)
受け継がれる明るさと暗さ(『ハチミツとクローバー』)(画像アリ)
『ハチクロ』に比べて、『3月のライオン』は暗くて驚いた、という意見も聞くのですが、それは正確なものではないんです。どちらも明るさと暗さがテーマで、ただスポットの当てられている人が違うんですね。
『3月のライオン』における神様と契約の話(画像アリ)
桐山は将棋という手段によって、生きるという目的を達成しようとします。はぐみは生きることによって、絵を描くという目的を手に入れます。
(以上、犬の本棚さん)
一連の流れを持ったレビューなので、「桐山と二階堂、あるいは明るいものと暗いもの」から読んでみてください。
積ん読パラダイスさん
生真面目で、真っ直ぐな天才棋士ゆえに追い込まれざるを得なかった孤独。そこからの回復を、羽海野チカならではの可愛らしさ、賑やかさが出た絵やエピソードによって描かれた漫画からは、家族でも友人でも、誰かと生きる素晴らしさがにじみ出る。